幅員5.5m未満をゆく

自転車とサイクリングの日記です。

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内装ハブギヤは駆動効率が悪い?

最初に答えを言うと、
わざわざ指摘するほど悪くないです。

駆動部分にはたくさんのパーツから生まれる抵抗があります。

1.ペダルの回転
2.BBの回転
3.チェーンの曲げ伸ばし
4.チェーンラインによる擦れ
5.ハブの回転

内装ハブギヤをチェーンテンショナー無しで使う場合、上記で関係するのは 3,4,5 です。5のハブの回転抵抗に目が向きがちですが、チェーンの抵抗をあなどってはいけません。

例えば、前ギヤをアウターで後ギヤをロー、前ギヤをインナーで後ギヤをセンター辺り、これらが仮に同じギヤ比だとしたら後者の方が抵抗なく軽く回ります。これはチェーンラインのズレが大きくなってチェーンが擦れるためです。
内装ハブギヤではこれはゼロです。

アウターローでチェーンテンショナー(ディレイラープーリーゲージ)が伸びてチェーン張力が増すと抵抗が増えます。誰もが脚に感じるほど抵抗の違いがありますね。
内装ハブギヤでチェーンテンショナーを使わないパスハンターでは、チェーンには余分な張力は掛かりません。チェーンテンショナーを使うリカンベントでも極力弱くしていますし、プーリーが一つなので二つに比べて抵抗は小さいです。

これらを考えるとハブの回転抵抗なんて大したことではないと思うんですが、内装ハブギヤをイジメる声をよく聞くので見てみましょう。

ずいぶん前に、クランクが何グラムで回るかを検証しました。

あなたのクランクは何グラムで回りますか? - 幅員5.5m未満をゆく


この時の重さは35gでした。

計測データ
内装ハブギヤ:SHIMANO ALFINE SG-S500
ギヤ比:3.533(700Cに換算すると 52T x 15T くらい)
チェーンテンショナー:無し
クランク長:170mm
ホイール径:26HE

初期型のSG-S500はクランクを回すのは軽いんですが、クランクを止めた惰性が重い、という特徴がありました。そして惰性時にクランクが回ろうとする力が強めでもありました。それと8速だったかな「チ、チ、チ、、、」という耳障りな音がありました。

SG-S500を使い始めてしばらくするとSG-S501という改良版が発売され、SG-S500と比べるとクランクを止めた惰性は気持ちよく進み、惰性時にクランクが回ろうとする力は弱いです。「チ、チ、チ、、、」という音はなくなりました。

全体的にはSG-S501は気持ちが良いんですが、SG-S500のクランクの軽い回転よりも少し抵抗を感じます。一つの要因として防水シールが抵抗を増しているのでは? と思ってシールを外して計測することにしました。

今回はローギヤで検証しました。例によってカメラのフィルムケースに入れたボルトの増減でぎりぎり回る重さを探ります。


結果は50gでした。

 

計測データ
内装ハブギヤ:SHIMANO ALFINE SG-S501
ギヤ比:1.054(700Cに換算すると 34T x 32T くらい)
チェーンテンショナー:あり
クランク長:167.5mm
ホイール:650B

防水シールがある状態では過去にで90gとか75gでしたから、やはり防水シールは回転を鈍くさせます。

さあ、あなたのクランクは何グラムで回るでしょうか。
仮に100gだったとして、50gとの差は感じないでしょう。


もう一つ重要なことがあります。
それは内装ハブギヤだからこそ存在するギヤ同士の擦動部の馴染みです。車やオートバイを新車で購入したことがある人なら誰もが慣らし運転をしますね。これは新しいエンジンやギヤ(トランスミッション)の当たり面の微細な凸凹を、ゆっくりと優しく扱うことで滑らかにする目的があります。

以前、下記の検証を紹介しましたが、ここで使われた内装ハブギヤが擦動部の馴染みが出たものだったか、その可能性は低いでしょう。


ギアボックス システムによる速度の違いは何ですか?

こんな記事も書きました。購入時はゴリゴリな回転のペダルが、長く使用することでウルトラスムーズな回転になる、というお話しです。


このウルトラスムーズな状態が僕の内装ハブギヤの内部で起こっているはずです。