シマノA01Sとこれの互換製品のブレーキパッド用スプリングに関する考察です。
先日、ブレーキパッドのスプリングについて注意喚起しました。
ブレーキパッドのスプリングは要注意! - 幅員5.5m未満をゆく
双方のパッドを押し広げるスプリングの橋(ブリッジ)に危険がはらんでいるというものです。
橋がつっかえ棒になってパッドをピストンで押せなくなってしまい、ブレーキが効かなくなるのです。
その時は橋をU字に曲げて幅を狭くすることで一応の解決としましたが、改めて構造と役割りを見て行くと、このスプリングはとても重要且つ微妙な隙間に納められていることが分かりました。僕が設計者ならもう少し違う形にしていたことでしょう。
スプリングはとても薄くできています。パッドが減ってもスプリングにぶつかるまで使える、と考えがちですが、実際にはスプリングの橋(ブリッジ)がつっかえるまでしか使えません。
で、橋を曲げて狭くすることでつっかえるのを防ぎ、パッドを長く使えることになりました。スプリングの橋(ブリッジ)とパッド(これの場合は放熱板)の間に隙間があることを定期的に確認しましょう。
加工前のスプリングと各部の寸法を測ってみました。
橋の幅が 3.7mm(この幅までしかピストンで押せません)
新品のパッドの厚さは 2.5mm
新品のローターの厚さは 1.7mm
2.5mm のパッド2枚とローター 1.7mm に対して、スプリングの橋 3.7mm なので、
(2.5×2) + 1.7 - 3.7 = 3.0
3.0 ÷ 2 = 1.5
パッド片側で 1.5mm 減ると橋につっかえます。
パッドの厚さが 2.5mm ですから、2.5 - 1.5 = 1.0
パッドの残りの厚みは 1.0mm が限界です
ちなみに僕が加工した橋の幅は 3.2mm
上と同様に計算すると 0.75mm が限界です。
では橋の幅をもっと狭めてパッドを更に延命させることはできるのでしょうか。
答えはNoです。
スプリングの橋の幅を狭くし過ぎるとディスクローターに擦ってしまうんです。
分かり易くすると、こんな風にローターを跨いで付いています。
少しでも左右にズレるとシャリッシャリッ、とローターに擦れます。
幅を狭めたスプリングの内側とローターの隙間はほんの僅か。
ブレーキ本体の形状によって使われるスプリングの形も変わってきますが、僕が使っているタイプではこうした微妙な寸法で作られていたんです。
様々なメーカーから互換性のあるパッドが発売されていますので、それぞれのスプリングの形を見てみました。概ねシマノと同様でした。
AHL これは橋が湾曲しているので加工し易そう。
JuinTECH 使っているディスクブレーキの純正品です。
TRP
BARADINE
ZOOMHB-870
ASTORO
MicroHERO
僕が設計するならこんな形かな。
追記
ASHIMA AD0707