幅員5.5m未満をゆく

自転車とサイクリングの日記です。

幅員5.5m未満をゆく

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子の権現 パスハンティング

奥武蔵には多くの寺院がありますが、最も多くの人が訪れるのが子の権現(天龍寺)でしょう。
山深さという点からも山歩きをする人々に好まれる位置にあります。
日曜は、数あるルートの中で気になっていた古道を登ってみました。


http://latlonglab.yahoo.co.jp/route/watch?id=4be112d09041c6993665902db5c9a0dd





例年よりだいぶ早く梅雨明けしたこの日は朝から暑さを感じさせ、早い時間に市街地を快走で抜けました。
小沢峠から名栗に下り立ったのは10時過ぎ。水が豊かな山間の集落はまだこの時期は涼しいです。
レーニングに励むロードレーサーを横目に旧道をのんびりと進むと、川では子供達の遊ぶ声にも気付きます。


古道の入り口は天目指峠の途中にあり、一番奥の集落はお気に入りの場所の一つ。
数年前に道路の舗装改修工事の時に道端の石碑も一緒に補修されてしまい、真新しいコンクリに違和感がありました。
しかし1〜2年経って周囲に馴染んで以前の趣を取り戻していました。


集落内を押して歩いていると民家のお爺さんと目が合いました。
「こんにちは。ここは静かでいい所ですね」と話しかけると、笑顔で応じてくれました。
石碑のことを伺うと、昔この沢で水害があり数名の方が亡くなってしまい、その慰霊碑とのことでした。
当時は20件ほどあった家も今では数えるほど、孫も大きくなってしまい淋しいんだとか。
こんな静かな山間で暮らすことを羨ましいと思うのは、僕が便利な都会に住んでいるからでしょうか。


登山口までは乗車できる勾配ではありますが、これから入る山に馴染んでおくように押して歩きます。
先ほどのお爺さんに道のことを聞いた時に、「倒れた道標のところかい?」と聞かれましたが、僕は立っているものしか記憶になかったので曖昧な返事しかできませんでした。
着いてみると立っている道標の脇に幾つか倒れている石碑がありました。ちゃんと知っていたんですね。





さて、道は良くありません。雨水が流れる道となっているようで小石がゴロゴロ。
勾配はきつくないので一歩一歩ゆっくりと押して上ります。
林道を横切ったところから急に踏み跡が薄くなり、岩や倒木が多くついには道が見えなくなってしまいました。
ルートファインディングと空身での偵察を繰り返して進みます。
小広くなったところで一休み。


天目指峠へ向かう車やオートバイの音がいつしか聞こえなくなり、周囲はひんやりとした空気に包まれています。
遠くの谷からは鹿の鳴き声。それ以外には動物の気配は感じません。
小さな沢沿いということもあって足元は湿り気をおび、そこに小さな生き物はいますが、見通しのきく針葉樹の森は動物達には居心地が悪いのでしょうね。
ここへ来るまでは山へ入ったら鈴をつけようと思っていましたが、静かな森の心地よさからか鈴をつけることを忘れていました。
一歩ずつ進むごとに周囲に溶け込んでいっているよう。ふと村上春樹の小説を思い出しました。氏の小説にはこんな森がよく出てきます。





いよいよ左右の崖と岩がせり出し、これは駄目かなと、最後のつもりで空身の偵察。
倒木を潜り、岩の横を抜け、もう真っ直ぐは進めない所まで上ると右肩へ九十九折れの道が続いていました。よし!
自転車を取りに戻って登り返し、九十九折れを上ると小尾根に出ました。そして少し先に石の道標。うん、よし!
七丁目と書いてあります。入口が十七丁目でしたから、昔は途中に幾つもあったのでしょうね。
そこからは踏み跡が次第にはっきりとしたものになり、登るごとに現実へと引き戻されました。


子の権現の少し手前に見晴らしのいい場所を発見し、そこで昼食としました。
背もたれにちょうどいい切り株があり、小一時間のお昼ね。至福の時です。


山の中は暑さをまったく感じず、自然は偉大だなぁと感じることしきり。
この後下るごとに暑さが増し、もう一時間山の上にいればよかったと後悔しました。




その他の写真
https://picasaweb.google.com/102022339073463920028/20130707?authkey=Gv1sRgCPL5qfLH74riBA#


走行距離:134km


07:02 出発
09:42 吹上峠
10:11 名栗
11:11 古道入口
12:26 昼食地
13:20 子の権現
18:32 帰宅