長い間自転車を趣味にしてきた人達は、皆さん口をそろえて「ツーリングパーツが無い」と仰います。では かつてはあったのでしょうか。それってレース用に少し手を加えた物だったり、レース用の廉価版だったのでは?
今も昔もメーカーはレース用パーツに大きな力を注いで開発しています。そのおこぼれを頂戴して遊んでいるのがツーリスト。ジュビリーだ、シュパーブだ、サイクロンだ。それってレース用ですよね。サイクロンGTがあるじゃん、ジュビリーのロングゲージがあるじゃん、って言うかもしれませんが、ただロングゲージになっただけですよね。カンパもしかり。
ツーリングにはワイドなギヤ比が必要で、ロングゲージがツーリングパーツだというなら、今のレースパーツはロングゲージです(ミドルゲージ? 少なくともショートゲージではありません)。昔よりも真剣に開発されたロングゲージです。
話しをもどして。
レースでは要求されなくて、ツーリングでは要求されることって、なに?
レースでは高速高回転で確実に素早く変速することを主眼にしていますが、ツーリングでは低速低回転で素早く変速することが挙げられます。急に現れた激坂を目の前にしたとき、Uターンしてローギヤへ変速してからトライ、ということは多々ありますよね。
蚊に刺されるような低回転のペダリングで、しかも大ギヤから小ギヤへ入れる(落とす)時に、レース用の世界最高級品とて素早く変速してくれません。そういう場面を想定していませんから。
でも、それを得意としているパーツがあります。もうお分かりですね。
内装ハブギヤこそがツーリングパーツです。低速低回転はおろか停止していても素早く変速します。高速高回転でも素早く変速します。ツーリングのどんな場面でも最高の変速性能。「ツーリングパーツが無い」とぼやくあなた。内装ハブギヤを使いなさい(なぜか命令)。ディレイラーを外したくないなら付けたままで構いません。チェーンテンショナーとして役立ちます。
「重たいからヤダ」って言うあなた。重量を測ってください。足し算はできますよね。11Sあったら(8Sでも十分です)前のWギヤをシングルにできますから重量はマイナス。フロントディレイラーが無くなるからマイナス。フロントシフターとワイヤーが無くなってマイナス。チェーンが短くなるからこれもマイナス。重たいフリーホイールが無くなるからマイナス。リヤハブを交換するからマイナス。スポークが短くなるからマイナス。リヤディレイラーだっていらないからマイナス。あるいは超軽量なジュビリーにしてもマイナス。僕がかつてXTRと比較した時はプラス500gでした。
ここまで示しても内装ハブギヤを付ける人はいないでしょう。今までいませんでしたから。そう、結局「ツーリングパーツが無い」のではなく「気に入ったパーツが無い」だったんです。他人のせいにしてはいけません。
夏が去って秋の涼しい空気になりましたね。明日は久しぶりに二十曲峠かな …