リカンベントのフレームをオーダーメイドする時に悩んだのがシートの取り付け方法です。既存の前傾自転車には無い、リカンベントたる所以のシート。
一番の前提条件はシート本体です。いくつかのメーカーがリカンベント用シートを製作販売していますが、僕が選んだのはポーランドにあるTHORです。そしてこれに乗せるクッションはオランダのVentisit。これらを見つけたことでリカンベントフレームのオーダー構想がスタートしました。
シートの取り付けを考える前に、どのようなリカンベントフレームを作るかが決まっていなければなりません。それはフレームがたわむのか、たわまないのか、ということです。僕の場合はたわむフレーム。路面からの振動を柔らかく受け止めたいということです。
これまで乗っているリカンベントCruzbikeT50はたわみを感じるフレームでした。各部は調整できる構造で、シートも座面と背面で分割されていて、角度を調整できるようになっています。たわんでも、これを各部がいなしてくれれば逆に乗り心地がいいことになります。
とはいえ、THORのシートはカーボン製でたわみませんから、これをフレームと繋げるブラケット部分でフレームのたわみを吸収する必要があります。
もう一つ、リカンベントではシート座面とBBまでの距離を調整できる仕組みが必要で、既存の各メーカーの多くはBOOMの長さを可変させています。オーダーフレームではこの構造は難しそうでしたので、僕はシート座面で調整することにしました。
1.3D曲面を無理なく固定できること
2.フレームのたわみを吸収できること
3.シート座面を前後へ調整できること
この三つが僕のリカンベントフレームのシート取り付け要件です。
悩んだのはやはり3D曲面をどうやって上手く取り付けるかということでした。当初は角材を現物合わせで削ってもらおうと考えていましたが、防振ゴムというものを見つけて「これだ!」と思ったんです。そういえば若い頃に乗っていたオートバイのウィンカーがこれに似た物で取り付けられていました。
この防振ゴムを元に、フレームのたわみの吸収と、前後調整を兼ね備えたブラケットがこちらです。
座面ブラケットは長穴にすることでシートの前後調整を簡単に行えます。シート背面ブラケットは長穴に加えて、シートステー下部をボルトオンにすることで、前後調整が可能になりました。
各部の強度は実際の使用を待たなくてはなりませんが、試走段階では不安なく固定されていました。防振ゴムはシート取り付けのキーポイントです。今後、リカンベントを製作する人の参考になればいいな、と思います。