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自転車とサイクリングの日記です。

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All-Road Bike Revolution を読んで

All-Road Bike Revolution の日本語版が12月2日に発売されましたので予約購入して当日入手しました。数年前にアメリカで発売され、その後ドイツ語版が発売され、日本語版は出るのか? 出ないのか? と情報がないまま数年が経ち、唐突に発売されました。著者 Jan Heine 氏が数々の自転車業界の神話を覆し、ワイドタイヤ革命を起こしてきたのを見てきた人にとっては待望の書でしょう。

All-road bike とはどんな自転車なのか。それは、ロードバイクのように舗装路を速く走れ、不整地でも速く走れ、フェンダーを付ければ全天候で楽しめ、キャリヤとバッグを装備すればツーリングに出かけられる。全てのシチュエーションで何も諦めることがない自転車、と言っています。

これらの根拠をこの本の中で技術的検証に基づいて解説しています。その範囲は自転車に関連する全てと言っていい範囲に渡ります。フレームメーカーやパーツメーカーは資金力で様々な検証を行って開発しますが、その情報は自社製品に偏っている場合が多いです。しかし、著者の Jan Heine 氏はメーカーに偏らない立場で検証を行い、しかもそれは自転車に乗車して行ってきました。信じる信じないではなく事実が書いてあるだけです。

All-road bikeグラベルロードなのか。All-road bikeランドナーなのか。
答えは、グラベルロードは All-road bike になり得る。ランドナーは All-road bike になり得る。だと思います。本書を読んで感じ取ってください。

ランドナーの代名詞的な ReneHERSE は、Jan Heine 氏が率いた Compas Cycles に引き継がれ、現 Rene Herse Cycles となりました。妹の故 Lyli Herse 氏が Jan Heine 氏へ商標を譲渡するよう持ち掛けたことは、この本を読めば納得することでしょう。これだけ自転車への情熱を持ち、走ることへの意欲が強いのですから。故 Rene Herse 氏の意志に近いものを感じたんだと思います。

Jan Heine 氏はランドナー好きです。ただし日本で認識されているランドナーのイメージではなく、本来の長距離を快走して旅をする自転車であるランドナーです。
「All-road bike は現代に蘇ったランドナーだ」と Jan Heine 氏はこの本で言いたかったのかもしれません。

目次を抜粋します。All-road bike に限らず自転車に関する技術的なことに興味がある人には大いに楽しめる本でしょう。

Part1
Choosing Your New Bike
あなたの新しい1台を選ぶには

Part2
The Science of Performance
自転車の性能を科学する

魔法の方程式
空気抵抗
転がり抵抗
重量
ベアリングと駆動系の抵抗
フレームのしなり
生体力学
ハンドリング
ジオメトリ―
快適さ
自転車を体に合わせる
信頼性
結論

Part3
The Parts of the All-Road Bike
オールロードバイクの解剖学

タイヤ
ホイール
フレーム
フォーク
ブレーキ
駆動系
現代の規格vs古典規格
ライダーと自転車の接点
ラック類とバッグ
フェンダー
ライト
シミ―
自転車にかける費用
グラベルライディングとシクロクロス
タンデムバイク
カスタムビルダーを選ぶ
パフォーマンスバイクに乗ろう

コラム
プロのレーサーは、なぜ25mm幅のタイヤを使うのか
高圧タイヤのプラシーボ効果
レーニングはすべてのライダーに有効なのか?
ジオメトリ―はどのように進化してきたか
中間的トレイルのジオメトリ―
適正空気圧を見つける
レーシングカーは、なぜスリックタイヤを履くのか
異形フレーム
オートバイと自転車のブレーキ
点滅灯とヘルメットライト