かつての音楽レコードやカセットテープにあったA面/B面ですが、自転車にもあります。美意識の高いサイクリスト達の多くは、進行方向の右側をA面と呼んでいます。写真を撮る時、立てかけた愛車がB面だった場合にはひっくり返してA面にする人もいるほどです。右側には自転車の顔であるチェーンホイールやディレイラーが取り付けられている関係からでしょう。
これら以外にもハンドルの右側にバックミラーを付けたり、シートステーの右側にテールランプを付けたり。パスハンターでは担ぎを考慮してフレームポンプを右シートステーへ付ける人がいました。スペアのスポークをチェーンステーに付けて、チェーンの当たりを防ぐ工作もありました。あとはベルもステムの右側だったり、ライトなんかも。
チェーンホイールが右側にあるのは、これを最初に導入した自転車がイギリスだったからでしょう。左側通行のため、立て掛けた自転車を整備するには、右側に部品があった方が都合が良いですからね。それと、押して歩く時は左側に立つ場合が多いらしく、その場合にチェーンで足が汚れるのを嫌ったからかもしれません。
そして立て掛けられた自転車や、すれ違いざまの自転車を見るのは、右側だったわけです。そこから次第に右側に付いた部品は「美しくあるべき」と自意識を持つようになったんだと思います。
チェーンホイールは歯以外のアームで美しさを競っていますが、フリー(リヤスプロケット)は歯そのものなので形は大きく変えることができません。でも左側から見たスパイダーアームにビビビっときている人もいるかもしれません。
チェーンはどうでしょうか。一見、皆同じのように感じますが、実はプレートはデザインされています。多段スプロケットの歯を上手く拾う為に設計されているのはもちろんですが、そこに美的センスを感じるのは僕だけでしょうか。昔シマノから発売されたUGチェーンよりもDIDラナーが好みでした。今はWIPPERMANNです。
でもこんなシマノのチェーンも使ってみたいと思っています。
ちなみにオートバイではスプロケットやチェーンが左側にあります。その為にこれらの部品に美的センスはほぼ無いと言っていいでしょう。代わりに右側にあるマフラーで美しさをアピールしているのかもしれません。
しかし、何事もバランスが重要です。右側ばかりに集中させると、手放し走行したら右に進んでしまいます。というのはもちろんウソですが、右側でなくても事足りる部品は左側に付けるのがいいと思います。
そんな中に現れたB面の救世主がディスクブレーキです。前輪はともかく後輪にディスクローターやブレーキ本体を取り付けるスペースはありませんからね。視覚的にも重量的にも自転車の左右バランスをとってくれます。
特にディスクローターは視覚的にはチェーンホイールに匹敵するほど自己主張しています。しかも前後で二つも付いていますからね。B面がA面になる日がくるのかも (^^;