大人が乗る自転車のホイール径は、日本ではかつて26インチが主流でしたが、その後は大径化が進み29インチ(=700C)が主流ですね。
これは日本人の身長が昔と比べて高くなったからという見方もありますが、欧米の規格をそのまま日本国内でも使っているだけかもしれません。
僕のホイール径歴は、16inch, 22inch, 700C, 26HE, 650A, 650B と、一通り乗り回してきました。現在のメインは650Bと26HEです。700Cではない理由は身長が168cmで脚が短め(腕も)だからです。乗車ポジションや視覚的バランスのいい自転車にするためには700Cは大き過ぎるんです。
26x1.8HE QUARK PassHunter
650x32B CHERUBIM Recumbent
しかし、ロードレースでは700C一辺倒。MTBは長らく26HEが使われてきましたが、これもここ数年で29HE(=700C)に変わりました。グラベルロードではかろうじて27.5HE(=650B)が見られますが、競技ではほぼ29HEになってきています。
大きなホイール径の一番のメリットは安定性です。もう一つのメリットとして大径の方が速く走れると言われていますが、Rene Herse Cycles 社の試験によると29~26HEを比べた場合では違いは殆ど見られないようです。更にグラベルレースくらいの凸凹走破性についても同社では違いが殆ど無いと言っています。
では小径のメリットは何でしょう。一番は軽量なことです。僕がパスハンターで使用している26x1.8HE (42mm) の重量は295gで、チューブは110g、計405gです。
26x1.25HE (30mm) なら175gで、チューブは71g、計246gです。
どちらも同じ太さの700Cと比べると軽量です。これにリムやスポークが軽くなる利点も加わります。
次いで漕ぎ出しが軽いことが挙げられますが、これには賛否両論あるようです。ハブ軸から接地面の長さはテコの原理で長い(大径)の方が有利ですが、ペダルを踏んでホイールを回すのは小径の方が有利なような気がします。
よく分からないことは棚に上げておいて、軽いことに注目するだけでも利点があると思います。
視覚的な面で見てみましょう。
26HEや650Bで自転車全体を眺めてみると、他の部品が大きく見えてしまいます。チェーンホイール、ハンドル、サドルが目立ちますよね。でも最近ではチェーンホイールがシングル化され小さいのが主流になってきました。ハンドルもショートリーチが多くありますし、サドルもごく最近ショートサイズになってきています。
ではタイヤのバリエーションはどうでしょう。
700Cでは細いものから太いものまで、スリックからブロックパターンまであらゆるものが揃っています。26HEや650Bでも結構選べます。
26HE
幅30mm~52mm スリック Rene Herse Cycles
幅52mm ブロック Rene Herse Cycles
(ブロックパターンは過去のMTB用が多くあります)
27.5HE, 650B
幅30mm, 32mm スリック コンチネンタル
幅32mm~42mm スリック グランボア
幅38mm~48mm スリック Rene Herse Cycles
幅42mm~55mm ブロック Rene Herse Cycles
タイヤの太さはロードレースやトライアスロンでも幅30mmが使われるようになってきました。スリックタイヤは舗装路はもちろん泥濘でない不整地でも問題になることはありません。
こうして見てくると、身長170cm以下の人は無理をして700Cを選ぶ必要は無いと思うんです。無理してというのはポジションです。ステムを短くしてもハンドルが遠い、フロントセンターが短くて爪先とタイヤがぶつかる、サドルに対してハンドルを低くできない(ロードレーサーの場合)等々。こうした懸案も650Bなら上手く解決できます。
レースでは他者と同じ条件で競うことが望まれますが、そうでないなら小柄な人は650Bの選択をしてはいかがでしょうか。性能は同等、見た目のバランス良し、そして軽量です。