かつてホイール径が小さい自転車をミニサイクルとか小径車と呼んでいましたが、今は「ミニベロ」が定着しましたね。
ミニベロと言えば友人のぶとぼそ氏。輪行サイクリングはもとより、ファストランでもミニベロでがんがん走っています。
Source: 旅からす本館 日本をもっと楽しもう!!
そんな彼曰く「小径は漕がないと進まない。スピードが落ちる。」という声をよく聞きます。また サイクリストの意見も「径が大きなロードバイクより、径が小さなミニベロは性能が低い。」というのが大多数です。
本当なのでしょうか?
ダウンヒルスピードで700Cのロードバイクとスケートボードが同等なのを見ると???となります。スケートボードのウィールの径は数センチで、700Cの1/10くらいの径ですから。
また、高級ミニベロで有名なアレックスモールトンは、開発当初に数々のスピード記録を樹立しています。
アレックスモールトンで鈴鹿8時間エンデューロレースを走り結果を残した人もいます。
Moku Tune Racing Moulton
http://www.2plus4.net/MTR01_1.html
5. レースを終えて・・・
http://www.2plus4.net/MTR01_5.html
これらのことからホイール径が小さいことが遅い原因にはならないことが分かります。700Cという大径ホイールは上部で回転が進行方向と逆向きになるため風の抵抗が大きく、これが速度を遅くしている大きな要因です。スケートボードはウィールが小さいことと、そのほかは人間だけなので風の抵抗が小さい。このため両者のスピードが均衡するわけです。
700Cはロードレース界でしのぎを削って高性能化していて、スケートボードのダウンヒルも知名度は低いですがレースで高性能化しています。対してミニベロはスピードを求めて性能アップされたものが少なく、目的がポタリングであったり折り畳みのことが多くスピード性能が低いんです。ミニベロは遅く、700Cは速いという意見になるのはこのためです。
それはそうとして、何故700Cは乗っていて速いと感じるのでしょうか。
一つは大径の慣性モーメントでしょう。700Cで加速するとペダルを踏んだ後に伸びを感じます。この伸びが気持ちいい感触として伝わってきて速いと思わせるんだと思います。もう一つは大径の乗り心地の良さです。路面の凸凹をホイールがうまく吸収してくれますし、コーナーでも慣性モーメントやジャイロ効果によって気持ち良いいです。
では上り坂ではどうでしょうか。これは一般的にも小径ホイールの方が速いと言われています。加速の面では慣性モーメントが小さい方が少ない力で回せるからです。重さも小径の方が軽いですし。
ミニベロでも700Cのロードバイク並みに技術を投入して開発すれば、ロードバイクよりも速く走れる可能性があります。上りでは有利ですし、ダッシュして競争相手を引き離すにも、剛性を高めるにも小径の方が有利。惰性が遅く感じるならリムを重くして慣性モーメントを適切にするという方法があります。
とはいえ、なかなかミニベロが活躍できないのは、レース用の機材が全て700Cを基準に設計されているからです。速さを求めるミニベロが欲しいと思ったら、フレームはもちろんパーツに至るまで自ら工夫してカスタマイズしなければなりません。
幸いにもエコラン用のタイヤに20x1.75HEの高性能なものがあります(一般公道での使用は勧められていません)。
エコラン(Hondaエコ マイレッジ チャレンジ全国大会)は1リットルのガソリンで走れる距離を競う大会です。700Cという大径ではなく20インチ。そして1.75インチ(44mm)の太さが有利だと考えられているようです。
そして自転車での最高速の樹立も小径ホイールです。なんと車のスリップストリームで時速269kmです。小径が高速域では不安定だなんて言わせません (>_<)
UCIではホイール径は最小550mmまでという規定がありますが、いつかロードレースで24インチが主流になる日が来る! とはなりそうにありませんが、小径には自転車としての伸びしろがあります。まだまだ技術革新があるでしょう。