真夏の日差しと暑さでは自転車で出かけるのを躊躇いますが、走り出してしまえばそれほど過酷ではありません。人間の身体はよく出来たもので、体毛がないつるんとした皮膚は汗で湿り、これが風を受けて冷やされるという仕組みです。しかも汗は塩を多く含んでいますので、風を受けても完全には乾きません。いつまでも湿り気を維持します。水分塩分を補給して発汗して冷却する。水冷システム。
しかし、上り坂ではこうはいきません。スピードが遅くなると冷却システムは機能せずオーバーヒートします。今回行き先に選んだ足柄峠は、手前の地蔵堂まで日向の上りが続き、以前矢倉沢峠へ行った時も暑さに苦しめられた区間です。そこまで出来るだけ早い時間に着きたかったので、今回はR246オンリーで足早に走りました。
ルート 141.7km △1,945m
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行き帰り共にR246を使うので、行きは大和バイパスを走りました。最近は座間を抜けて海老名へ出るルートをよく使うようになったので、久しぶりです。このバイパスはアンダーカット区間が長く、自転車で走っていいのか悪いのか微妙ですが通行禁止の標識はありません。以前は車の流れが生む追い風に乗って時速50kmくらい出していましたが、今日は無理せず42kmくらい。
相模川を渡り、次いで中津川を渡っている所で歩道を走るランナー、暑そうだなぁって見ていたら、その先を真っ黒な服を着て歩く女性。しばらく日影はありません。何処から来て、何処へ向かっているのか。見るからに暑そうですが、人それぞれ事情があるのでしょう。どんな事情なんだろうと想像してしまいます。
僕らサイクリストを見る人達もそう思っているのかもしれませんが。
善波峠の上り口で旧道の日影を行こうか迷いましたが、まだ暑さは我慢できそうなのでそのままR246を上りました。手前で抜かしたサイクリストはミラーで見るとかなり距離が開いていましたし。
善波峠を下ったコンビニから年配のクロモリロードが出てきました。左手を上げて抜かす時にちらっと見たらMONTSON? センタープルブレーキにトウクリップ&ストラップ。
その後、渋沢を抜けたコンビニに入った時に追いついてきました。少しお話ししたいなぁと思って買い物してから外へでると既に先へ行かれていました。残念。
コンビニの裏から出てR246の旧道で松田へ下ります。途中に馬舎があるんですが、今日は二頭が表に出ていました。停車すると興味があるようだったので近寄ると鼻を出してきたので、触ってあげたら満足そうでした。
山北の直線を抜けて山北橋に到着。今日は後半にまたここへ戻ってきます。
さて、山北からR246を離れて地蔵堂まで、暑さが厳しい区間です。少しでも早めにと思っていましたが、既に気温は高くなってしまいました。空を見上げると雲も多めなんですが、なかなか上手く雲の下へ入れません。車用に広げられた道には日影が少なく、勾配が増してくるとオーバーヒートします。
暑い区間をのりきると矢倉沢。ここの公民館前の自販機で水分を補給します。リカンベントになってからは座ったまま小銭を入れて買いますが、落とさないようにって思っている時に限って落とすんですよね。しかもあそこに入ったら取れないだろうなっていう所へ見事に入ってしまいました。小さな穴に指をつっこんでなんとか取れましたが、あやうく倍の値段になるところでした。
汗をかいているのでオシッコはあまり出ないんですが、出たくなると我慢できない歳になりましたので、公民館前のトイレで済ませておきました。
矢倉沢からは旧道へ入り日影が多くなるので楽になります。車道を横切ってさらに進んだところは押して歩きます。視線を下げて歩き、再び視線を戻すと若い雌鹿が逃げて行きました。周囲は茶畑があって獣フェンスがあり逃げ場は少ないですから、僕が行ってしまうまで影で息を潜めているのでしょう。
雰囲気のよい旧道を終えて再び車道へ出るとほどなく地蔵堂ですが、先日行った時に食べ物屋が人気があるようで車と人だらけだったので、そのまま車道を進みました。上りでスローペースの時にそうした人達に注目されるのは嫌なんです。声を掛けてくれるならいいんですが、「なんだあの自転車」「電動じゃね?」「楽なのかな?」と、小さな声でもしっかり聞こえますから。
しかし、直ぐに車道を進んだことに後悔しました。直線的な日向の道が続いていたからです。そして地蔵堂からの道はしばらく右上の木陰にありました。九十九折の手前まで我慢走行。
木陰が多くなったので暑さは弱まりましたが勾配は緩まりません。でも2車線道路なのでそれなりの勾配ですから、じわじわ上り続けます。上りになってからサイクリストに会いませんでしたが、木陰で一人休んでいました。そう、無理せずマイペースがいいです。
大きく左にカーブすると上り終了。一旦少し下って上り返すと足柄峠です。手前のお店の辺りに5~6人の若者サイクリストがいて、笑顔で挨拶して通り過ぎました。上りきった者同士に通じる気持ちですよね。
久しぶりの足柄峠。前回は6年前に反対側からでした。
さて楽しみな下りです。車やオートバイは少ないので豪快に飛ばせます。大きく富士山が見れるところで停車。改めて富士山は高い山だって分かりますね。
富士山の後は注意していないと左折する所を逃してしまいます。注意していても急ブレーキで止まりましたが (^^;
車用の標識はなく、登山道にあるような小さな道標があるだけの道です。足柄駅へ下るにはこっちへ行かないといけません。1車線道路でカーブが多くスピードは出せませんが、ひらりひらりと車体を倒してコーナーを楽しみました。
樹林の中の峠道が開けて農村が広がりました。こちら側はあまり来ない地域なので新鮮に目に映ります。
足柄駅前で踏切を渡ると線路には雑草が生えていました。なんともローカル。
神奈川県民には足柄と聞くと小田原の北にある南足柄市をイメージしますので、山を越えて静岡県にある足柄駅は、ここに足柄? と思ってしまいます。行政的には小山町。どうやら足柄山(足柄峠の峰一帯)の東西の地域を指すようです。でも、それならば南足柄市ではなく東足柄市の方が適切だと思うんですけどね。
さて昼食は駅の近くにあるお店をネットで調べて楽しみにしていましたが、休業日でした。なんで日曜が休業日なんでしょう… ガッカリ。
でもスマホで隣の駿河小山駅の周辺を探すと蕎麦屋があったので一安心。
再び踏切を渡る時にカンカン鳴り出したのでカメラを構えていると、見慣れた小田急ロマンスカーが来たのでカメラをしまいました。ここは御殿場線なのにロマンスカーが乗り入れてるんですね。しかもその後もロマンスカーばかりで肝心な御殿場線は見ませんでした。
ありました、三軒屋。昔ながらのお店っぽくていい感じです。僕好み。
うんうん、落ち着く店内です。お客さんは他に三人組の家族だけででした。
蕎麦屋とありましたが何でもあります。カツ丼にしました。
ちょうどゆっくり出来たころに出てきました。色艶がよく食欲をそそります。
「いただきま~す」味は濃いめで好きですが、ロースの脂身が少なくちょっと残念。でも総じてGoodでした。
帰り際「自転車ですか?」と聞かれ「はい、そうです」。でも僕の出で立ちを見てなんで自転車だって分かったんだろう??? あ、グローブか。納得。
「お気をつけて」と言われて好印象なお店でした。
後半は大野山の中腹巡りです。集落が点在していて細く車がギリギリ通れる幅の道が続いています。岩を削ってあり、よく作ったものだと感心します。これまで崩れたという情報も聞きませんし。
これまでは犬越路の後に来ることが多かったんですが、犬越路が通れない状況が続いていますので、今後は足柄峠とセットになりそうです。
急坂を上り集落の手前にある道祖神。ここの二人は特徴的です。
どちらも女の子。旅人もどちらかと言えば若い方が好みでしょうから (^^; そんな男心を見越して作ったのか、その裏があるのか、、、
そして一人には角があります。ヤギっぽい角です。昔は多かったのでしょうか。
一つ目の集落を過ぎると東名高速道路の新設工事が進んでいました。もう直ぐ大きな橋が掛かりそうです。橋を渡った後は集落内の直ぐ上でトンネルへ入っていきます。完成したらこの集落も様変わりしてしまいます。
大野山が近くなってきましたが上までは行きません。もう少しで道はピークになります。
樹林の中をゆっくり上っているとショウジョウバエが寄ってきました。耳元で羽音が鬱陶しいです。手で払いのけて当たってもお構いなしの様子。
気付くと脚の周りにもたくさん飛んでいて、40匹くらいに囲まれている感じです。ちくしょー。スピードを上げると散り散りになりますが、上り坂なのでそんなに続きません。再び囲まれます。そんなのを繰り返しているうちにピークになりました。
そこから少し進むと谷峨駅から大野山への登山道が交差します。そこには馬頭観音。馬に荷物を背負わせて山登りはしないでしょうから、やはりその先の集落との交通があったんでしょうね。わざわざ山を登るということは少し離れた玄倉辺りと繋がっていたのかもしれません。
車道の大野山への道と交差します。小田原市街と国府津が見えました。今日は海沿いへは行きません。
茅葺古民家は健在。表札は [大野] です。前回2年前に来た時は葺き替え作業の最中でした。すっかり若草の金色は落ち着いています。
中腹の道はこんな感じが続きます。後半は小石や小枝が多くなってきます。一ヶ所 水場があって補給しました。冷たい水をごくごく。
途中、市間集落に [はじめ塾市間寮] というのがあって、詳しくは知りませんが、若い子供達で賑わっています。自然の中でのびのびと遊んでいる様子。
通り過ぎる時に二人の男の子と女の子に近づくと、目が合うと間髪入れずに「こんにちはー」と大きな声がきました。心豊かな証拠です。もちろんこちらも大きな声で「こんにちは~」。
そこからすぐ急坂を上るんですが、バックミラーを見ると、こちらの行く様を凝視しています。そして「え、うそっ、」「まじ、」「電動じゃね」とか、今風の言葉が聞こえました (^^;
最後は八丁へ続く川沿いの道へ降り立ちます。川原ではいくつかの家族が涼を楽しんでいました。ここは騒々しい人達はいないようで安心しました。
そして山北橋に戻りました。
駅前まで線路沿いの道を行くと、歩行者用の橋があって単線の御殿場線が見れました。春は桜が有名なところです。
山北駅。もう何年前か忘れましたが 亀次郎さん と出会ったところです。
松田で一休みして再び馬舎。もう僕には興味がないようでした。
そこからはR246を快走して帰途につきました。
真夏の暑さでもまだ走れる幸せ。いつかは無理になるんでしょうけど。
家の前のコンビニでビールを飲みながら一日を振り返りました。ちょっと贅沢してエビスの500ml♪
07:32 出発
10:04 山北橋
11:38 足柄峠
12:34 駿河小山
14:30 山北橋
17:35 帰宅