2日間の信州トリップを終えて改めて感じたのは、リカンベントの適応範疇は広いなぁ、ということ。得意な高速移動に加えて、のんびりスローな集落巡りでも楽しい。
今回、スピードは極力ゆっくりで、脚も腰も手も首もどこも痛まず脚の疲労感もありませんでした。視界は広く常に景色が目の前にあります。前傾自転車の中でこのルートに適しているタイプを挙げるとしたら、アップライトなハンドルの自転車になるでしょう。
自転車は想定速度に応じて設計されています。リカンベントでも同じです。高速になるほどにシートリクライニングが傾けられます。しかし、リカンベントは前傾自転車に比べると適応速度の範囲が広いです。僕のリカンベントはシートリクライニング45度で、シティサイクルレベルから、ロードバイクのレベルまで順応しています。
小旅行が目的とされるランドナーであっても、ポジションをみると快走を考慮した設計であることが多いです。何故なら一日のサイクリングの中に快走する区間があるからに他なりません。歴史的にもランドナーはポタリング用ではなかったはずです。
こうした快走を想定した自転車で一日凡そ10時間を時速15km前後で走り続けたら、お尻や手あるいは首が痛くなってくるでしょう。「痛くならないよ」という人は稀でありラッキーな人です。
ぱぱろうサンはラッキーな人でしょう
歳をとる毎に自分の自転車の前傾が緩いポジションへと変化していくのは、身体の動きが固くなることもありますが、若い頃は我慢できたことが我慢できなくなってきた、ということでもあります。
他方、ドロップハンドルは握る部分が複数あって上体の疲労を軽減できると言われています。確かにそうですが逆の見方をすると、疲労を軽減するために握る部分を複数設ける必要がある、となります。
何故? それは前傾自転車で長時間走るのは辛いことだからです。
またドロップハンドルには大きなデメリットがあります。慎重な制動が要求される場面ではハンドルの下を握ってブレーキレバーを操作することになります。厳しい坂を上り終えて、さぁ楽しい下りとなった時、前傾が一番きつくなるハンドルの下を握らなければなりません。その状態でパニックブレーキを掛けると前方宙返りになります。
リカンベントは常に姿勢は変化しません。自然体のポジションを作ったならば、その状態が一日中続きます。加速する時、パニックブレーキを掛ける時、急坂を上る時、下る時。いかなる時も同じ姿勢。安全で安心。そして長時間同じ姿勢でも楽だから変える必要はないんです。
安全安心で、速くても、ゆっくりでも快適。これはリカンベントを愛する人に共通する思いです。理想の自転車と言ってよいのではないでしょうか。
昨今タイムトライアル用の自転車を見ていると、とても矛盾を感じます。片やスピードを追求し空気抵抗を減らすべくしのぎを削り、一方は既存のロードレーサーのポジションを守らせるべく規制しています。
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UCIは自転車の未来のために方向転換を図る時期に来ていると思います。TTバイクを既存のロードバイクの規定に当てはめることがナンセンスであることは、自らも矛盾を感じていることでしょう。かつてリカンベントをレースから排除した歴史の過ちを、真摯に受け止めて方向転換するべきです。
第一歩としてTTレースに限ってリカンベントを取り入れるのはどうでしょうか。これによってリカンベントの理解が深まり、形の好き嫌いも変わると思うんです。
リカンベントは格好悪い、から、リカンベントも格好いい、に変わっていくはずです。人は速いもの、強いものに惹かれますから。
© Cruzbike.com
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リカンベントが広まることで自転車界にデメリットは無いはずなんです。力を伝達する効率、安全性、視界の広さ、疲労の少なさ等々。上り坂が弱いという意見は理論的に解決されていますし、数々のレースでロードバイクを抑えて勝っている事実もあります。軽量化が進めば更にリカンベントが有利だと、誰もが理解できるはずなんです。
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リカンベントを排除して別カテゴリにするのではなく、取り込んでいって将来はリカンベントが大多数にする。それが自転車界が目指すべき未来だと思います。楽で速くて安全なんですから。