僕の愛車はパスハンターとリカンベントです。過去も含めて実はランドナーを所有したことはありません。そういう走り方をしてこなかったから。
多くの同年代の人がランドナーらしいサイクリングをしていたのは主に若い頃だと感じています。歳を経た現在、数日間に及ぶサイクリングをすることは難しいですからね。僕は高校を卒業して働き始めたので、その頃から既に数日間のサイクリングが出来る生活ではありませんでした。それに他のアウトドア遊びにも熱心でしたし。日帰りサイクリングだけで郊外と農村と峠を走れることも、今の車種に落ち着いた所以だと思っています。
そんな僕がランドナーのことをとやかく言うのはおこがましいですが、ランドナーというとフランス発祥と言われています。ALEX SiNGER や ReneHERSE 。日本に入って来たこれらの素晴らしい自転車は、車体としての美しさやフレームの設計、特殊工作が話題になってきました。日本のランドナー乗り達が中年になって走ることが少なくなってしまった結果なのかもしれません。
読書の秋。例によってキャンプ用の椅子を組み立てて座り、本棚にある比較的新しいNewCycling誌を読んでいるとReneHERSEの記事が頻繁に出てきました。あ~、やっぱりここでも工作がどうとか、フォルムが美しいとか、そんなのかぁ。すると…
1995年11,12月号
「ルネルス」のオリジナルアイデアといわれている源は英国にある
おおお? そうなの? このコラムが2回に分かれて掲載されていました。荒しを巻き起こしかねないこの提言。
そしてというか、やっぱりというか、「待ったー」と言わんばかりに…
1996年4月号
イギリス車に対する私の考え
という反論が名指しで掲載。むむむ、この流れは面白い。そして…
1996年8月号
英仏自転車ルーツ論争について
と続きました。
僕が持っているNC誌ではこの論争の続きや結論は見れませんでした。その後どうなったのか興味深い論争です。冒頭の記事に対して後者二人は少々感情的な内容だったのが大人げなく感じましたが (^^;
しかし、こういったのがNC誌らしいというか、面白い読み物だなぁと思わせます。編集部は口を挟まず中立を保っていました。実際のところ個人的には思うことはあったことでしょうが。
これらはもう25年も前の出来事です。歳を経た今の自分の観点で過去を振り返ると、また違った味わいがあるのがNC誌です。
ところで、後者二つの記事を書いた方々は既に亡くなられ、冒頭の氏はまだ元気に自転車活動をされています(僕の思い違いでなければブログも活発)。
僕はもうすぐ57歳で、NC誌で活躍されていた方々は一回りから二回り上の方々です。論争にはなりましたが、それぞれの知識や経験には脱帽しかありません。こうした知識は今後に継承されていくのでしょうか。今のネット社会では少々心配ですね。
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話題となったReneHERSE、実は美的観点と同じかそれ以上に走りの性能も良かったようです。故 Rene Herse 氏もよく走る人だったそうですから当然ですよね。アメリカの旧称 Compass Cycles が 版権を譲り受けて Rene Herse Cycles になりましたが、その経緯からも走りの性能が素晴らしいことをうかがうことができます。
最近ReneHERSEのことをよく書いていますが僕はReneHERSE派ではありません。また、フランス派でもなければイギリス派でもありません。サンツアー派でもないしシマノ派でもありません。自転車趣味人は拘りのある好きな自転車に乗ればいいだけです。それよりも どういう所を好んで走り、何を感じるか、だと思っています。僕はリカンベントとパスハンターで日本らしい風景の中を走ります。
追伸 2023/02/04
英仏自転車論争の主役の方が当時の経緯をブログへ書いています。
回顧録 - 英国式自転車生活