幅員5.5m未満をゆく

自転車とサイクリングの日記です。

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レースと規定と進化

UCIがロードレースで2つのエアロポジションを禁止するようです。
1つはスーパータック(Super Tack)と呼ばれるもので、お尻をシート前に落としてハンドルに胸を付けるポジション。もう一つは腕をハンドル上部に置くポジション。


選手や関係者の中には禁止に対して否定意見が多いようですが、そのルールが公平であるなら問題はありません。今のドロップハンドルを装備した自転車と前傾姿勢のスタイルを守るのは、伝統や文化でもありますし、見ているファンにとっても気持ちがいいことです。速く走りたいという欲求は理解できますが、スタイルを変えてまでそれを求めるならレースの意義は変化してしまいます。

仮に前述のポジションがこのまま黙認されれば、自転車や部品がこれを行い易い形状へと変わることが容易に想像できます。それに対してUCSが規定で制限していくという、イタチごっこへと進んでいくことになります。実際、過度の前傾姿勢で出力を得るために、腰の位置を前へ出せるようなサドルがあります。UCIの規定内でこれを実現していますが、サドル後部が不必要に長く異様な姿になっています。

とはいえ、よりよい方向へ進化することは自転車が更に発展することであり、誰もが望むことでもあります。

現在はツールドフランス等のタイムトライアル(TT)ではエアロポジション用のハンドルが使用できますし、スピードを追求するあまり自転車は専用設計になっています。従来のロードレーサーから逸脱していますが、UCIはある程度の制限を設けて良しとしています。どこまで形状の変化が許されるかはUCI次第ということです。


自転車の進化と発展にはレースが重要な位置づけになっていますが、いつの時代でも進化の発端は現場から生まれます。これに対して、公平性や伝統、安全性など様々なことを考慮して規定が行われてきました。従来の形を継承することと、進化を促進することは相反します。

いっそのこと、TTでは従来の規定を極力緩めて(安全性は担保して)行うのが良いのではないでしょうか。まったく別のレースを行うのではなく、ツールドフランスのTTで競われることに意味があると思います。平地のTT、上りのTT、これらで専用の自転車が生まれることでしょう。発想が膨らみ多くのトライ&エラーが繰り返されれば、確実に自転車の発展に貢献します。平地にはどんな自転車がいいのか、上りは?、そしてオールマイティーな自転車はどうあるべきかも煮詰まっていくことでしょう。