幅員5.5m未満をゆく

自転車とサイクリングの日記です。

幅員5.5m未満をゆく

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内山峠-田口峠

秋の車載ツーリング二日目は車で下仁田へ移動して、内山峠を越えて、ダートの神山林道で峰を跨ぎ、田口峠を越えて帰着する周回コースです。色々な出来事があり前日のまったりしたサイクリングとは違った印象に残る日となりました。


ルート 81.4km △1,785m
クリックすると RWGPS Map Control を埋め込み表示します。

 

激坂を上って荒船風穴でお勉強


|朝目覚めて車から出ると空はうっすらと雲が掛かっていました。昨日のような快晴とはいかないようです。
外に置いた自転車は夜露で濡れていましたが、車内へ積んで下仁田へ移動します。幹線道路を30分ほどで到着し、途中で買った朝食を食べて準備してスタート。移動した分だけ遅くなりました。

今日はいきなり田舎道とはならず、しばらくは交通量の多いR254を進みます。でも日曜なので大型車が少ないのは助かります。
道路沿いで気になる場所があると立ち寄って写真を撮るのは毎度のこと。


途中、本宿へ分け入ります。昔、西上州がサイクリストに人気だった頃、こんな写真をよく見かけましたね。


再びR254へ戻って進みます。ダム湖のところで集落内の旧道へはいって国道とはお別れです。集落が終わったところで国道を潜ってそのまま上っていくと荒船風穴へ行けるはず。国土地理院の地形図では風穴から先は破線になっていますが、他の地図や衛星写真では道があるのが確認できます。でも不安があったので地元の人に尋ねてみました。


ちょうどいい具合に道端で草木の手入れをしていたオジサンがいたので聞いてみました。
「こんにちは、風穴へ行くにはこの道でいいですか?」
『あぁ、これで行けるよ。結構な急坂だけどね。』
「その先の牧場へも行けますか?」
『行けるよ。』

不安が無くなり心が晴れます。


しかし、オジサンが言ってた通り凄い坂でした。風穴のある集落までなんとか上りましたが、以降は押し。久しぶりの激坂で脚がくたびれました。


集落の外れでお握り休憩。腰を掛けるのに丁度いいブロック塀がありました。


脚の疲れも落ち着いて再び押し始めると、唐突に風穴に到着しました。
ここまでの道はひっそりとしていたのでちょっと意表をつかれました。

そして受付のオバサンとオジサンが話しかけてきました。
「見学していくかい?」
『いえ、今日は遠慮しておきます。』
と答えると、風穴のことは無かったことのように我々のことを聞いたり、他のお話しになりました。やっぱり余所者と話すのが好きなんですね。

まったく風穴のことを話さないのでこちらから聞いてみました。
『ところで、この風穴はどんなものなんですか?』
すると簡単な説明をしてくれました。なんと世界遺産とのこと (@_@)
ここで ぶとぼそ氏 から言われて見学して行くことにしました。

富岡製糸場とセットの世界遺産で、風穴とは洞窟ではなく谷の冷気を取込んで大きな冷蔵庫にしたもの、風穴でお蚕様を温度管理して年に何度も繭を作らせて大量生産できるようにしたこと等々、二人の説明員に教えていただきました。久しぶりの勉強はふにゃふにゃになった脳みそに心地よく入ってきました。


風穴の先も激坂の道が続いていますが、牧場までは一般車は通行止めです。風穴との間をマイクロバスが往復している為です。すれ違えないんです。
そんなところ、大型のオートバイが三台下ってきて、先ほどの受付のオジサンとオバサンに静止されて注意されていました。我々自転車組への対応とはえらい違いです (^^;

なんとなくピークっぽくなった先が牧場の端っこで、駐車場がありマイクロバスも待機していました。一般車はここからバスか歩きで風穴へ向かうことになっています。


駐車場からも坂は続きますが激坂はあそこまでです。
神津牧場のロッジに着きました。観光地っぽいです。

 

荒廃した神山林道


俗化したところはスルー。牧場からはほぼ等高線に沿って横ばい。途中で荒船山の雄姿が見える所は撮影ポイント。


そして内山峠に到着。ハイカーの車が道路に溢れていました。
既に12時40分。ちょっと時間が押してきました。お昼ご飯もまだです。


R254に合流して豪快な下りを楽しみます。下り過ぎるとやっかいなので分岐までの距離を見ながらです。


苦水という集落から左手の峰へ上る道があるのでこれに入ります。


地図上で道沿いにある集落は別荘でした。かなり奥まで別荘が点在しています。
ここでも庭の手入れをしている人を見つけて尋ねました。
『この先は上の道へ続いていますか?』
「あぁ、木々が覆いかぶさってるけど自転車ならたぶん大丈夫だよ」


別荘地といっても狭く薄暗い沢沿いで夏はいいかもしれませんが、これからの季節は寂しいところです。

右手で「ガサガサッ」と音がしたので振り向くと、熊が斜面を掛け下って沢筋へ消えました。
『 !』
距離は40mくらい。一瞬でしたがシカやカモシカと違う真っ黒でずんぐりむっくりした躯体でした。その後沢筋から登ってこないか確認しながら、ベルをチンチン慣らして足早に進みました。
初めて見た熊にドキドキでしたが ぶとぼそ氏 と一緒だったので落ち着けました。ぶとぼそ氏 は見逃したので「見たかった~」としきりに言っています。

別荘地が終わるとダートになります。ドキドキも収まったので昼食にしました。


そこから神山林道は直ぐでした。状況が心配でしたが案の定、簡易な通行止めゲートがありました。


この林道は標高1,000mくらいを等高線に沿って進むので大きな上りはありません。ただ、山の地形に沿ってうねうねを繰り返すのが地図から見てとれます。常緑樹の植林は無く紅葉が綺麗。


進むにしたがって道は悪くなり車が入っていないことが分かります。やがて道がごっそり落ちた箇所が表れました。踏み跡に沿って脇を進みます。


落ち葉が積もると石が見えないので困ります。太目のタイヤで正解。


ここは半落ち


油断していたらクリートが外れずに立ちゴケしてしまいました。たまにはこういうこともあります  (^^;


あちゃ~、かなり大きく崩れています。


下流側の草が茂ったところに僅かに踏み跡がありました。考えることは同じですね。草の上は滑らないし崩れないので焦らずの登ればOK。


くねくねの林道は水平ではなくアップダウンがあります。沢部へ下り尾根部へ向けては上ります。上りは殆ど押し。
オートバイのタイヤ跡を見つけたので、この先は崩れていないということで安心しました。でも新たな不安が出てきました。田口峠は通れるのか?


ようやく大きく回り込んで方角を変えると下りになりました。

 

闇の田口峠


なんとか日暮れ前に車道に出ました。ふー、と一息ついたところで不安が的中。ここにもゲートが。ただ、工事中の為らしくその工事個所は目の前です。日曜で休工ですし山側のフェンス設置工事のようでしたので、通らせてもらいました。しかし、この先も不安は残ります。

夕暮れが迫ってきています。田口峠までは勾配ゆるゆるなので焦らずに上ります。
「ガサガサ」今度は熊ではありません。シカです。先ほどの林道終盤にもいましたが、車道へ出てからは そこかしこでシカが走り回ります。車が通らなくなった峠道は既に獣たちの生活圏になっているようでした。


後ろを振り向くと日が沈んで夕焼けになっていました。さぁ、闇がくるぞ。


田口峠です。以前、星尾峠の下りが崩壊で通れなかった時に、登山道を進んでここへ下ってきたのが懐かしい。もっと開けて印象でしたが、それは明るかったからかもしれません。


そらはまだ明るさが残っていますが木に遮られると暗いです。ライトと点灯して下り始めました。


下るにつれて闇は濃くなります。ライトで照らされる範囲だけが視界。僕のライトは横に広いのでカーブでも比較的先が見えるので助かります。
ここでもシカ多し。左手を逃げていくシカの音、次の週間には目の前に出てきて横切りました。3m。闊歩しているのは大型のシカばかり。あの角にやられたらイチコロです。

路面とシカに注意しながら幾重にも続く九十九折を掛け下ります。ようやく民家が現れた時には本当に安堵しました(灯りはありませんが)。そして、この先は通れるな、と。


夏の頃、峠のナイトランやってみたいなぁ、なんて思っていましたがダメです。淋しすぎます。まだ17時半なのにこの闇。いつもなら町田街道の街灯りの中を帰途に走っている時間です。

ようやく民家の灯りのある所まで下ってきました。電気って偉大です。


その後も集落間は真っ暗です。でも道は次第に良くなってきました。


もうシカの心配は不要です。しかし、思わぬ伏兵がいました。ネコです。
前方で目を光らせたかと思うと一匹が横切りました。そこを通り過ぎた瞬間、直ぐ後ろをもう一匹が横切ります。
あ、後ろの ぶとぼそ氏 は大丈夫か?!
後で聞くと、そのネコは横断せずにその場にうずくまった為に間一髪だったそうです。

田口峠の下りは長いです。闇と集落の灯りとを繰り返しながらずんずん下り、昨日の塩之沢峠からの道と合流し、今日も道の駅で一息つきました。
ここまでくればもう何も心配いりません。ゆったりと流してデポ地へと向かいました。

帰着後は再び昨夜のデポ地へ戻って湯舟で一日を回想し、居酒屋で反省会飲みとなりました。


08:27 出発
11:04 荒船風穴
12:13 神津牧場
12:42 内山峠
16:51 田口峠
18:39 帰着