幅員5.5m未満をゆく

パスハンターのフレーム

古くはスケルトン、今はジオメトリと呼んでいるようですが、フレームの各部の寸法は全て意味があります。
オーナーの体格に合わせてあるのはもちろんですが、車種によって最適な寸法になっています。
車種というのはちょっと間違いかもしれませんね。正確には走り方によって決まるものです。

フレームをオーダーする人は、一般的に適切とされる寸法をあえて変えたい、という気持ちを持っているかもしれません。
自分の走り方は少し違うから、ここをこうしたいとか。
ロードバイクのように見えるものでも、想定速度が低かったり、路面からの振動を軽減したい、といった場合にも寸法を変えることで求めるものに近づけたりします。

最近ではパスハンターをあえてオーダーする人はいないのではないでしょうか。
パスハンターは元々ランドナーを改良してオフロード走行を快適にしたり、古道の担ぎをし易くしたところから発展してきました。
MTBの台頭によってオフロード走行の部分は解決され、ネックとなっていた重量も9kg台まで軽くなったことから、パスハンターとしてオーダーする人がいなくなったのでしょう。

しかし、パスハンターはMTBではありません。
明確な違いはオンロード走行を想定していることです。
パスハンティングは旅要素が濃いことから、自宅から、あるいは輪行した駅から目的の峠の入口までオンロードを走りますからね。
そうした麓を楽しむのもパスハンティングの工程の一部なのです。

青線が僕のフレーム、白線は一般的なロードフレーム

リアセンターは僕の走り方の特徴が現れている部分です。
一般的にロードでは405mm前後、MTBでは425mm前後、ランドナーでは430mm前後、です。
僕のフレームのリアセンターは397mm。
26HEのホイールということもありますが、ここはかなり拘った部分です。

リヤセンターを短くするメリットの一番は、後輪のグリップ力が増すことです。
重心がサドル上であったり、クランク軸の場合でも、そこから後輪の接地面までの距離が短い方が体重が多くかかります。
あまり短くすると急な上りで前輪が浮き上がってしまいますが、滑り易い路面では前輪が浮く寸前のポジションが一番安定します。
また急な下りでは、後輪のグリップ力が高いということはブレーキをかけても滑り難いということです。

更に、グリップ力が高い分細いタイヤやブロックの浅いタイヤを使えますから、山の麓でのオンロード走行も楽しむことができますよね。

グリップ力の他にも、リアセンターが短いことで相対的にホイールベースも短くなります。
これによって回転半径が小さくてすみます。
日本の山道を想像してください。随所に急角度の九十九折がありますよね。
そこを安全に楽しく下るための発想が、リアセンターに現れているんです。

ではデメリットは?
一番は安定性に欠けることですが、26HEという700Cよりも650Bよりも小さい径なので(地面に近いので)、仮に700Cの自転車と同じホイールベースでも、僕のフレームの方が安定性がよいという訳です。

リアセンターの他の部分も、全ての寸法に意味を持って作ってあります。
BBハイトはなぜ40mmなのか、スローピングにしたのはなぜなのか、ヘッドアングル71度は寝かせ過ぎじゃないのか、シートアングルは立ち過ぎじゃないのか、等々。
それらはまたの機会にします。